Case Study No7
多くの企業様にクラウドサービスの
導入支援を行う当社から見た、
企業様の課題やクラウドサービスの
選定のポイントを解説いたします。
部品製造業における
棚卸業務の自動化
~IoTセンサを活用した圧倒的業務改善~
製造業におけるDX課題
人口減少やそれに伴う国内市場の縮小、デジタル化の遅れや技術継承問題などのさまざまな要因から、製造業の現場では改革が叫ばれている 。
社会情勢が変化し、少子高齢化や人口減少に伴って働き手が減少すると、今までと変わらない作業量が、少なくなった現場スタッフの業務負担を増やしているという現状がある。広い敷地内にいくつも製造ラインを抱えて生産管理をするには、従来のオペレーションでは人員数に頼らざるを得ない。しかし、少人数で今までのオペレーションを完ぺきにこなそうとすると、ひとりあたりの業務負担が増え、疲れが蓄積して人的ミスの発生につながりかねないという問題がある。デジタルが発達した今、製造業の課題解決をすべく「スマートファクトリー」を目指して改革を進めている企業も多く存在する。
「製造業のDX」というと全自動ロボットのような大がかりなイメージがあるが、それには大きなコストと、導入までに大幅な期間を要する。加えて、今までデジタル化をしたことがない企業にとって、いきなり製造ラインをロボット化することは、高額で導入のハードルも高く、どのように進めていいかわからないという企業の方々も多い。
部品製造企業様の場合
今回ご相談いただいたのは、製造現場の負荷となっているアナログ業務のデジタル化をご希望の、部品製造企業様。広大な土地に製造ラインの建物が分かれており、全体管理に手間と時間を取られていた。
具体的には、工場業務を一時停止させ、全社員による棚卸を月に1回実施し、毎日使う消耗品や備品は切らしてはいけないため、実数計測確認による棚卸を毎日実施。一斗缶に入った液体の残量は外からだと把握できないため、ひとつずつ手で持ち上げておおよその量でカウントしていた。
これでは人によって数値に差が出てしまうため、数値の正確性が担保できない。また、棚卸や残量カウント業務に多くの人員と時間を要していた。
さらには、棚卸用紙を渡された管理本部ではスタッフによる転記作業が発生。そのデータを元に発注数を算出し、自社システムへ入力して発注する。紙による在庫のアナログ管理と、データを入力するスタッフの負担、という2つの課題が発生していたのである。
製造現場課題から導き出す
最適な提案
今回の課題は、広い製造施設内の実在庫数が現場でしか確認できないということと、本部側で発生するアナログ業務の、2つが要因であると考えた。 そのため、IoT重量センサ×クラウドシステムによる在庫管理の完全無人化、労務管理の削減、余過剰在庫削減による生産管理コスト低減をご提案した。
具体的には、以下の4つをポイントとした。
- 残量センサ導入による在庫カウント業務の完全無人化
- 余過剰在庫抑制による在庫の適正化
- 自動発注
- 購買情報のデータ化と経理業務の効率化
実際に少ない台数を導入し、現地でのソリューションサポート・データ分析・導入効果の算出など、トライアル検証のご支援と、センサとクラウドにおける無人棚卸・自動発注の業務運用設計も一緒に実施した。
ソリューション導入後の
圧倒的業務改善とは
部品製造企業様では、IoT重量センサとクラウド受発注システムを採用し、現場と本部のアナログ業務課題の効率化に成功した。
具体的には、IoT重量センサでマット上の残量を定期的に計測。受発注システムのクラウド上に残量が記録され、クラウドでの在庫管理の自動化を実現した。これによって、人の手によるカウント業務がゼロになり、時間もコストも削減。加えて、正確な実数値の計測が余過剰在庫抑制につながり、PLも改善された。
また、システム上でしきい値を設定することで、自動発注も可能になった。この発注は、現場から購買管理への社内受発注で主に活用されている。倉庫から自動で発注されたデータを管理本部にて受注し、CSVでダウンロード。そこから自社システムへ取り込んで発注できるようになったため、管理本部の転記の手間が減り、省力化へとつながっている。
部分的デジタル化改革が
DXを加速させる
このように、製造ラインの自動化だけがDXというわけではない。小さく始められるデジタル化も多く存在する。
今回のケーススタディでは、さまざまな業務がある中から棚卸やカウント業務を抽出し、そこで発生する課題とそれに対するオペレーションの改善が行われた。業務内容を細分化して洗い出し、できる箇所から小さくデジタル化を進めていくことが、DXを進める最大の近道ではないだろうか。
当社は、クラウドを活用したソリューションを中心としてさまざまなIT商材を取り扱い、デジタル化にお困りの企業様と一緒に最適なソリューション提案を続けていく。